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千綿勇平 — 体力を使い切った夜が、心地いい

俳優の千綿勇平。舞台と映像を行き来しながら、30代に入り、年齢に合った役へ目を向け始めている。毎日体力を使い切り、自分との約束を守る生き方を聞いた。

収録スペースで並んで座る千綿勇平と中田航太郎

舞台と映像では、使う筋肉が違う

最近はドラマや映画など映像の仕事が中心ですが、俳優としてのデビューは舞台でした。生のお芝居がすごく好きなので、「年に1回は絶対に舞台をやろう」と決めています。

お芝居をすること自体は変わりません。一番違うのは、準備する時間です。舞台は約1か月かけて稽古をして、本番も1週間ほどあります。家に帰ってお風呂に入っているときや寝る前に「明日はあそこのアプローチを少し変えてみよう」と考え、翌日に試せるんです。

映像は、現場に入って段取り確認を1回やり、カメラテストをして、すぐ本番です。反省して修正する時間がなく、出たとこ勝負になる。舞台とは使う筋肉がまったく違って、瞬発力が求められます。

寝たら治る

エンタメ業界もコンプライアンスが厳しくなり、昔のように深夜や朝まで撮影が続くような無茶はほとんどなくなりました。そもそも僕は、体力があるほうだと思います。

今年出演した舞台には怒鳴り散らすような大声を出すシーンがあって、1日2公演やると夜には喉がガサガサになりました。でも、のど飴や喉スプレー、マスクでの保湿といった特別なケアは一切しません。自分の体力と気力を過信しているところがあって、「寝たら治るだろう」と思っていたら、本当に治るんです。

2年くらい前には、花粉症の真っ只中に、スギ花粉の真下のトンネルで4日間続けて撮影がありました。最初の3日間はくしゃみが止まらず、目も痛くて、本当に死ぬかと思いました。それが4日目に、急に何も感じなくなったんです。

5歳上の自分に憧れる

この業界にいると感覚が少し麻痺してきて、30歳を超えても平気で高校生の役をやったりします。若々しい役をいただけるのはありがたいのですが、最近ふと「もう学生服は無理だな、しんどいな」と思う瞬間が来始めました。

僕は若く見られがちで、声も高めなので、どうしても若めの役にキャスティングされるジレンマがあります。でも、20代前半の俳優たちと横並びになったとき、自分の年齢に合った役の幅へシフトチェンジしていかなければと感じました。会社の上司役や父親役のような、年齢相応の役をもっとやっていきたいですね。

劣化して老けたいわけではありません。若さに執着するのではなく、いつも「自分の5歳上の年齢」に憧れを持つようにしています。今なら40歳くらいのかっこいい先輩を見て、「5年後にはああいう大人の男になっていたい」と目標にする。自分が向かっていく先をイメージするのが好きなんです。

自分との約束を、破らない

一つは、「毎日、限界まで体力を使い切って全てをやる」と決めていることです。どんなに疲れていても、心が折れそうになっても、体が動くならやる。そうして体力を使い切った後の寝る時間はすごく心地いいですし、次の日の朝に「昨日も全力で頑張ったな」と思える瞬間が気持ちいいんです。

もう一つは、自分との約束を守ることです。他人との約束を破ると罪悪感が出ますが、自分との約束を破るのは、それ以上に罪悪感が大きいじゃないですか。だから、自分との小さな約束を一つひとつ破らずに生きていく。そうすることで自分に誇りを持てて、自分のことをどんどん好きになれる。フラットで正直な状態でいることを、大切にしています。

千綿勇平
俳優。18歳からモデル活動を始め、21歳で俳優デビュー。2015年、『Smart×SonyMusic第二弾』で準グランプリを受賞し、舞台・ドラマ・映画で活動を続ける。2023年にはスーパー戦隊シリーズ『王様戦隊キングオージャー』でシオカラ役を務めた。

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全力で使い切れる体を、この先も。

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