前田大介 — 遊ぶように働き、働くように遊ぶ
株式会社 MAE代表取締役社長の前田大介。製薬会社を経営しながら「薬に頼らない社会」を掲げ、富山にHealthian-woodをつくった。余白とたまり場、夢中になれる仕事について聞いた。

製薬会社が、「薬に頼らない社会」を目指す
僕は29歳で、3代目の後継ぎとして塗り薬をつくる製薬会社に入りました。そこで感じたのは、病気の人が増えるほど薬や治療が必要になり、産業が成り立つという矛盾です。国民皆保険は、誰もが必要な医療を受けるための素晴らしい仕組みです。一方で、人口が減っていく社会で病気の人が増えれば、社会保障費も膨らんでいく。もちろん、病気になった人には薬も治療も必要です。ただ、医療や薬に頼りすぎる社会の仕組みは変えたいと思いました。
そもそも、健康で元気なほうがいい。製薬会社だからこそ「薬に頼らない社会」をつくる側に回ってもいいのではないか。それが、今の事業を考え始めた起点です。
2年で200か所を巡り、この土地へ
その考えを形にした場所が、富山県立山町のHealthian-woodです。世界へ届けられる場所を探して、2年で約200か所を巡りました。最後に選んだのは、3,000m級の立山連峰が数十kmにわたって続く景色、眼下に広がる海、そして水田を一度に見渡せる土地でした。僕自身、その土地にルーツがあるわけではありません。土地の自然と力にひかれ、直感で「ここだ」と決めました。
周囲からは地方創生の事例と呼ばれることがあります。でも、最初から「地方創生をやるぞ」と始めたわけではありません。自分のやりたいことを続けた結果、そう呼ばれるようになったという感覚です。
非効率の中にある、余白
Healthian-woodでつくりたかったのは、日常のストレスから離れ、ほっと一息つける時間です。食事やサウナなどの場所はありますが、効率よく回れるようにはつくっていません。あえて歩き、自然を感じてもらう。その非効率さの中に、癒やしや幸せがあると思っています。
現代は生産性や効率を求めすぎているように感じます。「1か月休んでもいい」と急に伝えられても、何をしたらいいのか分からず、戸惑う人もいると思います。余白の時間をどう過ごすかは、これからの大きなテーマです。
もう一度行きたい旅先を決めるもの
もう一度行きたい旅先を決めるのは、建物などのハードではなく、ソフトの部分だと思います。そこで交わしたコミュニケーション、人の笑顔。振り返ると、もう一度訪れたい理由は、とてもシンプルなものにあります。
オフィスではなく、「たまり場」
僕は、いわゆるオフィスはいらないと思っています。必要なのは「たまり場」です。水たまり、陽だまり、人だまり。目的がなくても人が集まり、焚き火を囲んで話すような偶然のコミュニケーションが生まれる場所です。
機能を先に決めず、仕事にも食事にも遊びにも使える。そんな余白やたまり場から、新しいひらめきが生まれると信じています。Healthian-woodも、訪れた人がそれぞれの過ごし方を見つけられる場所でありたいと思っています。
遊ぶように働き、働くように遊ぶ
いい人生を送るために大切にしているのは、「遊ぶように働き、働くように遊ぶこと」です。僕がこれまで得意になれたことや、成果につながったことを振り返ると、ほとんどが遊びの延長線上にありました。
学生時代のバスケットボールもそうです。日が暮れて体育館の電源を落とされても、その場に残っていた。朝4時に起きて体育館へ向かうこともありました。部活動というより、夢中になって遊んでいたんです。
夢中になることが、得意をつくる。時間を忘れて没頭できるものが仕事になれば、働くことと遊ぶことの境目はなくなっていきます。僕にとって、それが一番のウェルビーイングです。
前田大介
株式会社 MAE 代表取締役社長。創業60年の製薬会社を3代目として経営する。「薬に頼らない社会」を掲げ、ハーブや食、宿泊、トリートメントを通じて心身の健やかさを育むHealthian-woodを設立。自然、食、余白を通じたウェルビーイングのあり方を提案している。
Wellness
自分の体を、長く見ていくために。
気になる方は、まずはカウンセリングでご相談ください。


