Longevity · 予防医療

中田航太郎 × 箕輪厚介 — 無意識に健康になる環境をつくる

箕輪厚介はサプリに月10万円を使い、ウコンを大量に飲んでいた。中田航太郎がデータなき健康習慣の落とし穴を一つずつ解体する対談第2回。

植物に囲まれたラウンジの白いソファで腕組みしながら笑う箕輪厚介。対談相手の肩越しに撮影。

箕輪厚介と中田航太郎の対談、第2回(第1回はこちら)。前回は40代の分岐点と「いつ始めるか」を語ったが、今回は問いの向きそのものが変わる。「何をすれば健康になるか」ではなく「どんな環境にいれば勝手に健康になるか」——意志の力を信じない編集者とデータを読む医師が、サプリ・サウナ・人間ドックの思い込みを一つずつ解体していった。

植物に囲まれたラウンジで白いソファに向かい合って座る二人の男性。対談の全景。

付き合う人を変えれば、昼酒は「ダサい」に変わる

箕輪 健康って意思の力じゃ無理だと思うんですよ。僕も昔、編集者コミュニティにどっぷりだったときは、昼から酒を飲んでるのが「粋」だと思ってましたから。そういうノリだったし、不健康なのが面白がられてた。

箕輪 でも今、経営者のコミュニティにいると、不健康な感じって若干ダサいんですよ。みんなジムやサウナに行ってるとか、健康の話ばっかりだから。そうすると自然と「昼酒はやめようかな」ってなる。

中田 それがまさに「0次予防」です。病気を見つけるのが二次予防、予防接種などが一次予防だとしたら、その手前にある「環境を整えることで無意識に健康になる」という概念です。住む場所や付き合う人を変えるだけで、努力しなくても健康行動をとれるようになる。

箕輪 0次予防、いい言葉ですね。

「とりあえずウコン」は傷口に塩を塗る行為だった

箕輪 環境を変えた上で、具体的な対策も聞きたいんですけど。僕みたいに酒を飲む人間はどうしたらいいんですか? とりあえずウコン飲んでおけば大丈夫と思っているんですけど。

中田 いや、それが危ないんですよ。肝臓の数値を見ずにウコンを飲むのはおすすめしません。肝臓が炎症を起こして傷ついている状態でウコンを入れるのは、傷口に塩を塗っているようなもので、逆効果になることがあります。

箕輪 え、マジですか? 僕、死にそうにツライときこそ大量にウコン飲んでましたよ。

中田 それは、いちばんやっちゃダメです。実際に「薬剤性肝障害」と言って、ウコンの飲み過ぎで肝臓をやられて入院する人もいますから。もちろん健康な人が飲む分にはいいんですけど、炎症がある人は控えなきゃいけない。だから、自分の肝臓のデータをちゃんと見て、「今の自分には何が必要で、何がダメか」をパーソナライズしないと、良かれと思ってやったことで逆に体を壊しますよ。

箕輪 僕、今サプリだけで月10万円ぐらい使ってるんですよ。15種類ぐらい飲んでて、正直何が効いてるか分からないんですけど。

中田 それも身体のデータを見ないと危険ですね。現代は健康情報であふれていますが、それが「自分に合うか」は全く別の問題だからです。僕が起業するきっかけになったある社長の話ですが、彼はスモーカーで、ゴルフ友達に勧められたサプリを飲んでたんです。それが抗酸化作用のあるベータカロテンだったんですが、実は「喫煙者がベータカロテンを摂取すると肺がんリスクが上昇する」というデータがあるんです。

箕輪 体にいいはずのビタミンで?

中田 そうなんです。結果的に彼は肺がんを患って亡くなってしまいました。友達は良かれと思って勧めたし、本人も健康のために飲んでいたのに、データに基づかない自己判断が最悪の結果を招いてしまった例ですね。

箕輪 それは残酷すぎる話ですね。

箕輪 確かに。僕の無茶な生活を知らない人に「一般的にはこれがいい」と言われても、ズレる可能性がありますよね。

誰かにとって有効なサプリだからといってやみくもに飲むのはギャンブルなんです。

中田

中田 足りない栄養素を補うならいいですけど、闇雲に足していくのはマイナスになるリスクもあります。採血などのデータ、生活習慣などさまざまな情報を基に「何をやめるか」を正しく判断できる専門家の存在が不可欠なんです。自分に合わないものを排除する引き算の意思決定こそが、命を守ることに繋がります。

ソファに腕組みして座る男性が、身振りで話す相手の方を見ている。

サウナの「整い」は疲労のマスクにすぎない

箕輪 最近サウナも流行ってるじゃないですか。僕も「サウナおじさん」たちとよく行きますけど、あれはどうなんですか?

中田 サウナも注意が必要です。ハードワークしてる経営者がサウナに入ると、スッキリして疲れが取れたと感じますよね? あれは疲れが消えたのではなくて、熱い・冷たいという強い刺激によってドーパミンやエンドルフィンが出て、一時的に疲労がマスクされているだけなんです。

箕輪 マスクされてるだけ! 麻痺してるってことか。

中田 そうです。だから元気になったと勘違いしてさらに無理を続けると、ある日突然、自律神経が破綻してガタが来たり、倒れたりします。

箕輪 確かに……。超多忙な経営者が正月に休んだ瞬間、一気に風邪引いて寝込むみたいなやつですね。

中田 まさにそれです。気が張っているうちはアドレナリンで保っていますが、緩んだ瞬間にドカッと来る。サウナはあくまでリフレッシュであって、休息ではないことを理解して戦略的に使わないと危険です。

通知表を怖がるのをやめる

箕輪 人間ドックの判定を見るのって、学校の通知表を見せられるみたいで怖いんですよね。悪い結果が出ると怒られる気がして。実際、D判定やE判定が出ると、それだけで冷めて離脱しちゃうんですよ。しかも「再検査してください」と言われても、予約が全然取れない。病院で2時間待たされるのも嫌ですし。時間単価を考えるビジネスパーソンにとって、あの無駄な待ち時間は極端な回避行動に繋がります。

中田 せっかく健診を受けても、受けっぱなしになってしまう人が多いのは残念で、再受診が必要な人のうち実際に病院へ行くのは2割程度というデータもあります。

箕輪 あと、変な話ですけど「ちゃんと2か月くらいトレーニングして、健康になってから受けたい」って思っちゃうんですよ。勉強してないのに模擬試験を受けるのが怖いのと同じで。

中田 僕たちの考え方は少し違います。従来の医療の目的は病気がない状態を作ること——いわば「ヘルス」です。僕らがゴールに置いているのは「いい人生を送ること」。ウェルネスです。

箕輪 病気を治したいというより、日々のパフォーマンスをいい状態にしたいのと、突然働けなくなって穴を空けたくない。

中田 健康になるために生きているわけじゃないですからね。会食も仕事の一部だし、やりたいこともいっぱいある。その中で「どこにレバレッジが効くか」を、データを見ながら一緒に考えるんです。

箕輪 普通の医者に行くと「バランスのいい3食を」とか当たり前のことを言われるけど、そんな生活は無理ですからね。それができるなら苦労してない。自分の生き方の価値観に寄り添ってくれる医者が欲しいんです。

中田 もちろん「酒をやめる」という選択肢もありますけど、もし箕輪さんが「お酒を飲みながら楽しく過ごす人生」を歩みたいなら、それを前提に戦略を立てます。お酒を飲み続けるなら肝臓の数値をどうケアするか、どこでリカバリーするかを考える。

箕輪 経営者の周りには医者の友達も多いですが、有名な先生でも専門外だと的確に答えられない。「皮膚の悩みを脳外科医に聞いてもしょうがない」っていうミスマッチもよく起きてます。

中田 パーソナルドクターの役割は、全身の状態を把握するジェネラリストであること。何年も継続してデータを蓄積し続けることで、ちょっとした数値の変化で備えるべきリスクについてお伝えできる。体の状態を総合的に見て、必要なときには専門医に繋ぎます。

健康のために人生を犠牲にするんじゃなくて、最高の人生を送るために健康をハックするってことか。それなら頑張れる気がします。

箕輪

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自分の体を、長く見ていくために。

気になる方は、まずはカウンセリングでご相談ください。