一杯を囲む時間。井崎英典のコーヒーセッション
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一杯を囲む時間。井崎英典のコーヒーセッション

世界バリスタチャンピオンの井崎英典を招き、コーヒーを味わう会を開いた。香り、器、温度の変化まで、一杯を囲む時間をたどる。

ケトルを持ちドリッパーへ湯を注ぐ井崎英典の手元

カウンターには、一升瓶とドリッパー、蓋のついた陶器のカップが並んでいた。ケトルを傾ける井崎英典の手元を、参加者が囲んで見つめる。

一升瓶、ドリッパー、陶器のカップが並ぶカウンター
ケトルを持ちドリッパーへ湯を注ぐ井崎英典の手元

井崎は2014年、ワールド・バリスタ・チャンピオンシップでアジア人として初めて優勝したバリスタである。この日は、味だけではなく、香り、道具、器、説明、提供するタイミングまでを一つの体験として組み立てていた。

次の一杯を抽出する井崎英典
井崎英典とカウンターを囲む参加者

4席の珈空暈から、この場所へ

本来、井崎が直接淹れるコーヒーを味わえるのは、井崎が手がける珈空暈(コクーン)である。珈空暈は4席の予約制で、希少なコーヒーを日本各地の農作物や菓子と組み合わせ、フルコースとして提供している。その井崎が店を離れ、参加者の目の前で一杯ずつ淹れたことが、この日の機会を特別なものにしていた。

木のトレーに並ぶ蓋つきの陶器のカップ

香りから始まる一杯

抽出に使われたのは、酒蔵の仕込み水。最初の一杯は蓋のついたカップで提供され、参加者は蓋を開けて香りを確かめてから口をつけた。その瞬間について、一人は「テンションが上がったのとリラックスしたのがほぼ同じ」と振り返っている。

陶器のカップで最初の一杯を味わう参加者

「温かい珈琲は美味しく感じやすく、冷めても美味しい珈琲は本当に品質の良い珈琲」。井崎はそう話し、参加者はカップの中で変わっていく温度と味を追った。

ワイングラスと菓子

次の一杯にはワイングラスが使われた。傍らには最中とマスカットを使った菓子が置かれ、コーヒーとの組み合わせを味わう。器が変わると、手に取る動作や香りへの近づき方も変わっていった。

コーヒーの入ったワイングラスと最中、マスカットの菓子

一杯を囲む

井崎は、これまでの経験やコーヒーとの出会いを、ユーモアを交えて語った。参加者からは「飲んでリラックスするだけでなく、もっと珈琲のことが質問したくなる」という声も上がる。聞くことと味わうことが、同じテーブルの上で続いていた。

身振りを交えて参加者へ話す井崎英典

井崎は、コーヒーには人種や国境、言葉の壁を越えて人をつなぐ力があると考えている。掲げる言葉は「BREW PEACE」。おいしいコーヒーから小さな幸せの連鎖を生み、優しい社会へつなげていくという思いである。この日も、一杯をきっかけに質問が生まれ、参加者同士の会話が続いていった。

参加者の輪の中で話す井崎英典
コーヒーを味わいながら笑う参加者

別の参加者は「健康に直結するかは正直わからないが、あのようにゆっくりビジネス以外の場で交流する空間として心地よかった」と振り返った。これは参加者個人の感想である。蓋を開けて香りを確かめ、冷めていく味を追い、言葉を交わす。一杯のコーヒーを囲む時間は、最後まで急がずに流れていた。

会場で歓談する参加者
井崎英典を中央に並ぶ参加者の集合写真

井崎英典

バリスタ、コーヒーコンサルタント。2012年、ジャパン・バリスタ・チャンピオンシップで史上最年少優勝。2014年、イタリアで開催されたワールド・バリスタ・チャンピオンシップで、アジア人として初めて世界チャンピオンとなる。現在は30カ国以上で、コーヒーのコンサルティングと啓発活動を続けている。活動領域は、商品開発や品質改善に加え、人材教育、エンドースメントまで幅広い。日本マクドナルドのコーヒーメニュー監修や、中国のluckin coffeeでの研究開発支援にも携わってきた。日本では、4席の予約制でコーヒーのフルコースを提供する珈空暈を手がける。

井崎英典がWellnessの会員として語ったCustomer Stories「井崎英典 — 5年後を語らず、使命に生きる」はこちらから。

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