くりえみ — 人事を尽くして、天命を待つ
元アイドルで、いまはAiHUBのCMOとぴにょきお(Pinyokio)のCEOを務めるくりえみ。指示に従えない自分に気づき、24歳で起業した。座右の銘は「人事を尽くして天命を待つ」。

他人に支配されたくなかった
実はアイドルをする気は全くなかったんです。私は協調性が皆無なので、事前に事務所にもそう伝えていたんですが、当時は大手の事務所がアイドルグループを作るムーブメントがあって、ほぼ強制的にやることになりました。グループには「色」や「コンセプト」がありますが、運営が決めた色に染まることが許せなくて。はぐれ者でいることに誇りを持つような、中二病みたいな感じでしたね。指示されると拒否反応が出てしまって、周りには迷惑をかけましたが、自分は他人の言うことに従うのが圧倒的にできない人間なんだと気づきました。
現役の頃は、重労働の上にお金もなくて、ファンの方に白米やレトルトカレーをもらって食いつないでいましたよ。当時は精神的に病んでしまう子も多くて、私も気づいたらベッドから動けなくなり、卒業公演の3時間後に逃亡に近い形でアメリカへ行きました。それくらい、人生で一番大変な時代でしたね。
フォロワー数を名刺に
誰かの指示に従うことができないなら、自分が主導権を握る経営者になるしか生きる道がなかったんです。タレントをしながらバイトをするのも難しかったので、セカンドキャリアとして24歳のときに個人会社を作りました。ただ、社会に出たこともなければ経営もわからない。そこで、SNSのDMを使って「誰か出資してくれませんか? 一緒に会社をやってくれませんか?」と連絡しまくりました。
当時は美容医療に興味があったので、美容外科の立ち上げ資金を出してくれる人を探して、片っ端から連絡しました。そのときに、自分の「フォロワー数」が名刺代わりになると思ったんです。日本の市場だけでは狭いので、台湾や中国など海外に向けて日本のアニメやオリジナルのコスプレを発信し、戦略的にフォロワーを増やしていました。そのフォロワーという資産を、タレント業ではなく、経営の方に活かそうと考えたんです。
美容医療からAIへ
いまAIの領域にいるのは、圧倒的に市場が広がることがわかっていたからです。美容外科やD2Cを始めたとき、ネット産業はすでに競合が多すぎました。韓国の美容医療が安くなり、低価格化が進んで差別化が難しくなってしまったんです。一方、AIの領域は完全なブルーオーシャンでした。これから法律や権利問題をクリアにしていく段階なので、スピード力のある人間が勝ちやすいし、若い人たちでも市場を作れると思って飛び込みました。
今、AIを使った開発が毎日のように革命的に進歩していて、私たちは大興奮しているんです。でも、これをいじっているのは全世界の0.3%くらい。世の中のほとんどの人が、この革命に気づいていないという感覚の差にもどかしさを感じますね。アイドル時代はライブをすればファンから直接「感動した」と感謝されましたが、ディープテックの開発は内部で9割が動いていて、世間に届くまで時間がかかるので、そのギャップが虚しくもあり、面白くもあります。
AI時代に個人が勝つ
AI時代になってプログラミングの専門知識がなくてもプロダクト開発ができるようになったので、作業ベースで動いてくれる子たちは「AIでホームページを作って、プロダクトをローンチする」まで全部やってくれます。うちのマーケティング責任者は今18歳ですよ。これからは何十人もエンジニアを雇わなくても、AIを活用して1人でプロダクトを立ち上げる社長が急増すると思います。専門職でなくても、汎用的にゼロからプロダクトを作れる「何でもできる人」にめちゃくちゃ価値がつく時代です。
私たちは今、タレントや文化人の「肖像」や「声」などのデータをAIプラットフォームに預け、二次利用としてクライアントに公式に使ってもらう仕組みを構築しています。本人は何もしなくても、二次利用でお金が入り、権利も守られる。そういう新しい価値の作り方を進めています。
スマホを遠ざけて、自分を取り戻す
AIや最先端の領域にいると、情報が目に入りすぎて非常に疲れてしまうんです。特に今のX(旧Twitter)のアルゴリズムは最適化されすぎていて、一度「資金調達」のニュースを見ると、そればかりが出てくる。それを見て、私だけができていないんじゃないかと焦って責められているような気分になります。
だから最近は、意図的にスマホを遠ざける時間を作っています。効率的ではないことにあえて時間とお金を使って自分を取り戻すことが、これからの時代はすごく大事になると思います。
人事を尽くして、天命を待つ
私の座右の銘は「人事を尽くして天命を待つ」です。自分のベストを尽くしたら、あとは神に祈るのみ。みんな成功したいと言いますが、世間的に成功している人でも幸せそうじゃない人はたくさんいます。幸せの定義が自分で分かっていないからです。
私は、結果に執着するよりも過程の方を大事にしています。それが面白そうだから全力でやる。中途半端にやったら一生後悔しますが、全力でやって結果的に失敗したとしても、多分私は幸福だろうなと思えるんです。
くりえみ
AiHUB株式会社 CMO 兼 ぴにょきお株式会社(Pinyokio)CEO。アイドル活動を経て、24歳で起業。美容医療やD2C事業を展開後、市場の成長性をいち早く見据えAI領域へピボット。現在は、AIアニメーション制作などを手掛ける親会社AiHUBのCMOを務めながら、リアルIPのAI二次利用プラットフォームなどを展開する子会社ぴにょきおのCEOを務める。SNSの総フォロワー数を武器に、既存の枠に囚われない「AI時代の新しい個人の生存戦略」を体現している
Wellness
自分の体を、長く見ていくために。
気になる方は、まずはカウンセリングでご相談ください。


