才賀紀左衛門 — 人間は、環境の生き物
元プロ格闘家の才賀紀左衛門は、株式会社クローバーの代表として、経営者が8割を占める紹介制の「才賀ジム」を運営する。引退後の悩みを救ってくれたのは、体を動かすことだった。美味しいものを食べて、トレーニングして、ストレス発散するのが最高の人生だという。

「鶏むね肉とブロッコリーばかり食え」とは絶対に言わない
僕は、美味しいものを食べて、トレーニングして、ストレス発散して、というのが最高の人生やと思います。ワイワイ楽しみながら健康でいるのが一番で、我慢して野菜ばかり食べて体を壊したら意味がないですからね。
ジムの会員さんは、ほぼ8割が経営者の方です。トレーニングは「痩せたいからする」ものではなくて、人生の一部に入れてほしい。体を動かすことでストレス発散にもなるし、考え方も前向きになって、生産性が上がると思います。僕自身、一人でストイックにトレーニングするのは嫌で、みんなで楽しくワイワイやりたい。1日1回体を動かして、うまいご飯を食べる。そんな場所を作りたくて、いまのジムを始めました。中田さんもずっと通ってくれていますが、最近は忙しくてなかなか来てくれません。毎週来てくださいよ。
トラブルの時期を救ってくれたのは、体を動かすことだった
体を動かすことのよさを実感したのは、選手を引退したあと、トラブルが多かった時期です。メディアを賑わせてしまった時期というか。あのときはすごいストレスで、「やばい、どうしよう」と悩んでいました。でも、トレーニングをしたら気持ちが前向きな方向にいって、頭の中がみるみるいい方向に向かっていきました。
実際に自分の考え方がプラスになったら、周りの人も変わっていきました。人間は環境の生き物やから、自分がポジティブになればいい人が集まってきて、人生がどんどん楽しくなる。僕自身がトレーニングに救われたから、「この環境をもっといろんな人に届けたい」と思ってジムを始めました。うちは基本、紹介制です。ついてくれている人は本当に心が広い、いい人しかいません。僕はトレーニングを教えながら、周りに育ててもらっている感じがします。
「これどうやって金稼ごうかな」から始まったK-1
格闘技は幼稚園のころからです。すごく元気やったから、親父のすすめで始めて、気づいたらやっていました。中学生くらいでちょっと道を逸れてしまった時期もあったけれど、格闘技だけは続いていて。早めに結婚して子供もいたので、「これどうやって金稼ごうかな」と思ったときに、テレビでやっていたK-1に出たら手っ取り早いなと。ちょっと斜めな考え方です。
ちょうど「K-1甲子園」という10代の一番を決める大会があって、なんとなくエントリーしたら勝ち上がって、年末の決勝戦まで行きました。僕は面白い試合をしていたから、バーッと跳ねてスポンサーもついて、「ラッキー」みたいな感じでしたね。18歳のデビュー戦は大阪ドームで、本当に盛り上がったのを覚えています。
若年性白内障での引退。選手には「やりきる環境」を
引退は30歳くらいです。若年性白内障になってしまって、目にレンズが入っています。ボクシングの試合に出るのもドクターストップで。いま振り返ると、あのころもっと純粋に格闘技のことだけを考えてやっていたら、違う道があったのかなと思うこともあります。
だからこそ、うちのジムにいる選手たちには、一つのことをしっかり一生懸命やりきる環境を作ってあげたい。いまはプロの格闘家が9人くらい所属しています。特に18歳の選手は本当に強いし、これからの日本の格闘技を背負ってくれる子やと思っています。テクニックもフィジカルもあるけれど、何より「真面目」なのが一番。僕が不真面目にやってきたからこそ、真面目にコツコツやれるのが一番強いと思います。
金にならないことを、コツコツ頑張れるやつ
格闘技を続けている子は、真面目な子しかいません。悪いけど、お金にならないことをコツコツ頑張れるって、僕はすごいことやと思います。ただ、プロの世界やから強いだけではダメで、オリンピック競技とは違う「エンタメ性」も絶対に必要です。
だから選手には「ここはこう言った方がいいよ」と伝えたり、その子の元の性格を活かしてマネジメントすることを大事にしています。いい意味で勘違いさせて、自信を持たせてあげることも指導の一環ですね。
家で家族とご飯を食べているときが、一番幸せ
いまはもう、最高じゃないですか。家庭もすごくいい感じで、娘が大きくなってきて「パパ」ってめちゃくちゃ言ってくれます。ちっちゃいときはちっちゃいときで可愛かったし、年齢によっていろんな可愛さがあります。
忘年会シーズンに外でいろんな話をして勉強するのも楽しいけれど、やっぱり家でゆっくり娘や家族とご飯を食べているときが、心から幸せやなと最近は特に思います。おかげさまで、いまは本当に落ち着いていて順調です。
いい人生は、週6回の運動と、近い人を大切にすること
大切にしているのは、周りの人、近い人を大切にすること。それと、週に6回は必ず運動をすることです。引退していろんな悩みごとが増えたときに、僕はトレーニングに救われた経験があるから。娘が大きくなっても一緒に出歩ける「かっこいいパパ」でありたいし、変な病気になってしまったら嫌やから、常に体を動かして健康な状態を作っておきたいです。
1年に1回は人間ドックにも行きます。来年は家族の決めごととして、どの検査をどの頻度でやるかをしっかり決めたい。そこは中田さんたちと一緒に、自分の健康戦略を決めてやっていきたいなと思っています。
才賀紀左衛門
株式会社クローバー(才賀ジム)代表。1989年、大阪府生まれ。2007年、18歳で「K-1甲子園」に出場しプロデビュー。派手なファイトスタイルとエンターテインメント性で脚光を浴び、キックボクシングや総合格闘技(MMA)など、長年にわたり格闘技界の第一線で活躍した。30歳で現役を引退後、現在は株式会社クローバーを設立し、完全紹介制のプライベートジム「才賀ジム」を経営。経営者を中心とした会員に向け、「美味しいものを食べて、楽しく体を動かし、ストレスを発散する」という独自の実践的ウェルネスを提供しつつ、次世代の日本格闘技界を背負う若手プロ格闘家の育成・マネジメントにも尽力している
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